こんにちは、ユーダイです。
2023年以降、日本全国でクマの目撃情報が相次ぎました。
なぐりっ子クラブのある名栗でも例外ではなく、2024年5月10日にクマの目撃情報があり、さらに6月11日には130kgのクマが人間の生活圏で罠にかかるという出来事がありました。
名栗で安全に生活していくためには、クマについて正しい知識を持ち、共存するための対策を講じることが重要です。
そこで、「クマについて知ろう!~人とクマが共存するためには~」というテーマで、子どもたちにクマの生態や対策について話す機会を設けました。
今回はその内容をお伝えしたいと思います。
クマの生息密度世界一!知床での経験
私ユーダイは、小学4~6年生までの間、山村留学という形で北海道知床に住んでいました。
知床は半島全体で約200頭のクマが生息していると推定され、その密度は世界一と言われています。
同じ小学校には登下校中にクマを見たという児童がいたり、小学校で専門家を招いてクマの生態について学ぶ授業があったり、地域の方が畑に出没したクマを射殺してその肉を分けてくれることもあったり。
また家族と一緒に車に乗っている時、道路や川沿いを歩くクマを見たこともあります。
さらに、小学4年生から中学2年生まで、クマの住む森の中で約1週間寝泊まりする知床自然教室に参加し、現在ではスタッフとしても参加しています。
クマに対する偏見
以上の経験から、クマは私にとってとても身近な生き物でした。
そんな私から見て、現在のクマに対する人々の見方は非常に偏っていると感じています。
SNSやニュースでは、「クマを殺すなんてかわいそう!」と主張してハンターを批判したり、クマが出没した地域の役所に抗議の電話をかける人がいるという報道がされています。
反対に、「クマなんて危険な生き物だから見つけたらすぐに殺してしまえ!」という意見も見かけます。
これらの極端な意見や行動に対しては憤りを覚えるとともに、クマとの遭遇が増えているからこそ、正しい知識をみんなが持っていくことが大事なのだと感じています。
きょうだいクマの悲劇
なぐりっ子クラブの子どもたちには正しい知識を持った上で考え、行動してほしいという思いから、私がこれまで培ってきた知識や経験を元に今回の取り組みを行いました。
まず、絵本「ヌプとカナのおはなし」を読み聞かせました。
この絵本は知床でクマ対策を最前線で行っている知床財団が出版しているもので、2頭のクマのきょうだいが豊かな自然の中で幸せに暮らしていたが、片方が餌付けにより人間の食べ物の味を覚えてしまい、最終的には殺されてしまうというストーリーです。
子どもたちは真剣な表情で聞き入り、「人間のせいで命を奪われることになってしまってかわいそう」と感想を述べていました。
次に、クマの生態について説明しました。
北海道に住むヒグマと本州以南に住むツキノワグマの違いを紹介し、クマの得意なことや食べ物について話しました。
特にクマの食べ物の90%以上が植物性であり、動物性のものもアリやセミの幼虫などの虫が多く含まれているため肉や魚はそれほどたくさん食べているわけではないことを話すと、子どもたちはイメージとのギャップに驚いていました。
クマと出会ってしまったら?
クマと人間の間で悲しい事故が起きてしまう原因と、クマから身を守る方法についても話しました。
本来クマは人間を恐れて避ける生き物ですが、人間の食べ物の味を覚えてしまうと、それに執着して人間に近づくようになります。
そうなると、人間にとって危険な状況が生まれてしまいます。
クマと出会わないためには、人間の存在をアピールする等クマを寄せ付けない、クマを誘引しない行動を取ることが大切です。
それでもクマと出会ってしまった場合には、慌てず騒がないことが重要です。
クマを驚かせると攻撃される可能性が高くなるため、冷静に対処することが求められます。
子どもたちの反応
これまでもクマについては何度か話をしていることもあり、最初は「またクマの話?早く野球で遊びたいんだけど」という反応を見せた子どももいました。
しかし、絵本や議論を通じて自分ごととして真剣に考えてくれるようになりました。
クマは自然の生き物であり、その行動も変わっていきます。
それに伴い、人間側の対応も変わっていく必要があります。
知識は常に最新のものにアップデートしつつ、今後も折に触れて子どもたちに伝え、安全で楽しい名栗での生活を送れるようにしていきたいと思います。
クマと共存するための具体的な対策
豊かな自然に囲まれた名栗のような地域でクマと共存するためにはどうすれば良いのか?
今回子どもたちに話した内容、また子どもたちと議論した内容から、以下にいくつかのポイントを挙げてみます。
1. クマを正しく理解する
クマはどのような習性を持ち、どのように行動するのかを知ることが重要です。
クマの生態を理解することで偏見に基づく判断を避けられるとともに、彼らの行動を予測しやすくなります。
2. クマとの遭遇を避ける方法を学ぶ
例えばクマが活動する時間帯を避ける、人間の存在をアピールする、クマの出没情報があった場所には近づかない等、遭遇を避けるための具体的な対策を講じることが重要です。
また人間の食べ物の味を覚えた危険なクマを生み出さないためにも、クマを寄せ付けるような行動はNGです。
3. 慌てない、騒がない
もしクマと出会ってしまったら、どのように行動すれば良いか?という知識を持っておくことが、最悪の事態を避けるために重要となります。
大騒ぎするとクマを刺激してしまうため冷静に対応し、ゆっくり後ずさりする。
この時、背中を見せて走って逃げることは厳禁です。
特に子どもはパニックになって走って逃げようとしたり、逆に興味本位で近づこうとすることもありますし、子どもの身を守るためにも自分の後ろに隠して対応することが大切です。
また最終的にはクマスプレーを使うケースもありますが、射程距離が2~3mと非常に短く、誤射の危険もあるため、あくまで万が一の時の最終手段です。
4. 正しい知識を伝えていく
クマに関しては、みんなが正しい知識を持っていることが大切です。
なぐりっ子クラブの子どもたちには、今回学んだことを保護者をはじめ周りの人たちに伝えていってほしい、とお願いしました。
終わりに
豊かな里山の自然に恵まれた名栗。クマもまた、身近に存在する自然の一部です。
現在、クマに対する恐怖や偏見が広まっていますが、正しい知識を持ち、適切に対処することで、クマとの共存は十分に可能だと私は考えています。
一人ひとりがクマについて理解を深め、共存のための具体的な対策を講じることで、より安全で豊かな生活を送ることができるでしょう。
私も常に最新の情報にアップデートしながら、クマと共に生きるための知識と対策を子どもたちに伝え続けていきたいと思います。
この記事を通じて、少しでもクマについての理解が深まり、人間とクマが共存できる未来を築くための一助となれば幸いです。
クマとの共存について、皆さんのご意見や経験をぜひコメントで教えてください。
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